神戸女学院大学音楽学部 同窓会 Club Fantasy

神戸女学院大学音楽学部 同窓会Club Fantasy

神戸女学院大学音楽学部 同窓会 Club Fantasy

神戸女学院大学音楽学部 同窓会 Club Fantasy

沿革

創設と名称

神戸女学院音楽学部同窓会「クラブファンタジー」は、戦後6-7年という時期に誕生し、 2021年で70年になりました。会員数は3000余名に達しました。 発足のきっかけについて、「1951年(昭和26)に同志が集まって音楽会を開いた」と伝え 聞いてきました。一方、1976年に発行された『神戸女学院百年史 総論』は、ファンタジーに ついてこう記しています。

1952年(昭和27)に音楽科の卒業生はクラブ・ファンタジーを結成し、 11月に独唱・野崎住子、ピアノ・古畑敬子によって音楽会を開いた。 なお1961年(昭和36)には東京支部も結成され、ピアノ・塚本保子、独唱・大槻道子の 音楽会をもった。

おそらく、音楽への強い志のもとに同窓生たちが心を一つにして集まり、翌年に団体名を定め たのでしょう。その中心となったのは美田節子(みた・せつこ、1906-85)先生でした。音楽 学部が専門学校音楽部だった頃に卒業され、同窓生で初めてとなる博士号を音楽教育の分野で、 それも米国で取得なさった方です。

美田先生は創設の頃について、ファンタジーの20周年記念演奏会プログラムに、以下のように書いておられます。

[会の始まりは]勉強会のようなものでも良いし、演奏を聴いていただく事でもよいし、ともかくも色とりどりの音楽のファンタジーが浮ぶままにやってみよう、というごく漠然とした希望に動かされたのです。

なお、会の名称は「クラブ・ファンタジー」や「クラブ ファンタジー」と記された時期もあり ますが、2018年度より「クラブファンタジー」に統一しています。

歴代の会長

ファンタジーの初代会長は、声楽の野崎住子(のざき・すみこ、1904-2003)先生だったようです。熱心なクリスチャンとして知られた方で、1928年から42年に亘る神戸女学院在職中に、門下からは優れた音楽家が輩出しました。

野崎先生から声楽の下里智恵子(しもざと・ちえこ、1910-90)先生へ引き継がれ、第二代会長の誕生となります。下里先生は、阪神間モダニズムにおけるロシア人として知られるオリガ・カラスロヴァ氏に師事されました。その可憐なお声による国民歌謡はYouTubeで聴くことができます。先生が1983年(昭和58)に創設された「クラブファンタジーコーラス」は現在も存続しています。

近年になって、私たちの教壇に立たれた作曲家の大澤壽人(おおさわ・ひさと、1906-53)先生の再評価が急激に進んでいます。野崎・下里両先生が、大澤作品の初演ソリストとして欠かせない存在だったことは、ファンタジーの歴史に特筆すべき出来事です。

  • 野崎住子先生
  • 下里智恵子先生

1990年に下里先生が急逝なさった後、第三代会長に就任されたのは声楽の岡田晴美(おかだ・はるみ)先生でした。先生はドイツに留学され、世界的な名ソプラノ、エレナ・ベルガー氏に師事なさいました。帰国後は関西歌劇団のプリマとして、数々のオペラで主役を務められました。教育者としても活躍され、門下生には斉藤言子神戸女学院大学学長や荒田祐子大阪音楽大学教授がおられます。

ファンタジーは、岡田会長の下で組織づくりが進みました。会員名簿の発行、会則の制定、会計の明朗化、クラブファンタジー賞の設立、海外研究助成金の授与など、先生の在任26年間に団体として活発な活動を行うようになりました。

現在に引き継がれている年間行事の数々―― 4月『クラブファンタジーだより』発行と「クラス委員総会」開催、6月「公開レッスン」主催、秋の「クラブファンタジーの夕べ」主催、そして学年末の「クラブファンタジー賞授与」―― これらは皆、岡田会長の時代に今の形が確立しています。

  • 岡田晴美先生

岡田先生の後任として、2016年に第四代会長に就任なさったのはピアノの奥村智美(おくむら・さとみ)先生でした。奥村先生は、音楽学部卒業後ジュリアード音楽院に入学されました。帰国後は、母校で指導されながら演奏活動を続けられました。

音楽をとりまく環境が急激に変わりつつある中、先生の下で、ファンタジーは「研鑽と親睦」を掲げた初心に戻り、一方で社会の変化に柔軟に対応しながら、同窓生をサポートする役割を意欲的に果たしてきました。

ホームページを開設し地区会性を導入し先ずは西宮地区会を発足させるなど会員相互のコミュニケーションを活性化させました。2022年、会長職を退かれ名誉会長に就任されました。

  • 奥村智美先生

奥村先生の後任として2022年第五代会長に就任されたのは、声楽の斉藤言子(さいとう・ことこ)先生(前神戸女学院大学学長)です。 コロナ禍にあって音楽活動が難しい状況、昨今危惧されている音楽学部の存続など厳しい現況にありますが、 深厚なる愛校心と学長を務められたご経験とで伝統を継承しながらもそこに新しく画期的な風を吹き込んでくださることと思います。

クラブファンタジーの夕べ

会員による演奏会「クラブファンタジーの夕べ」の開催は、ファンタジーの発足以来続いています。1952年の大阪産経会館を嚆矢とし、神戸新聞会館や当時の神戸国際会館を会場として、50年代から60年代は毎年、或いは隔年の開催となりました。

1971年には毎日ホールで20周年記念コンサートが開かれ、同期生の岡田晴美先生と内田聆子先生が出演
なさいました。その後、70年代から80年代は兵庫県民小劇場で開催され、このホールで16回のコンサートが行われました。

90年代に入ると、パイプオルガンを備えた宝塚ベガ・ホールへと会場を移します。2004年までに13回のコンサートを開催しました。この間、1991年12月の40周年記念コンサートは20世紀最後の記念回であり、また2001年11月の発足50周年記念コンサートは21世紀初の記念回となり、どちらも大阪のいずみホールで盛大に行いました。

「40周年」にはソリスト7人(南祐子・大川内玲子・松永みどり・山内鈴子・黒瀬紀久子・斉藤言子・荒田祐子)と2人の伴奏者(内尾睦子・神吉泉)が出演しました。

「50周年」には創設半世紀を祝して、初めて同窓生による「クラブ・ファンタジー・フェスティバル・オーケストラ」が結成されました。弦楽器38名、管楽器17名、打楽器4名、総勢59名のオーケストラは指揮に黒岩秀臣氏を迎え、5名のソリスト(荒田祐子・釜洞祐子・安藤史子・野村幸代・神谷朝子)がアリアと協奏曲を演奏しました。「ファンタジーの夕べ」にオーケストラが初登場し、感激に包まれた一夜でした。

「50周年」以降の2006年から、「ファンタジーの夕べ」は毎年いずみホールでの開催が恒例となりました。関西楽壇における同窓生の活躍を知らせるために大阪へ進出し、2016年まで続きました。

その間の2011年11月には創設60周年記念コンサートが開かれ、再びクラブ・ファンタジー・フェスティバル・オーケストラが組織されました。50周年と同様に弦楽器37名、管楽器19名、打楽器4名、総勢60名の規模となり、外山雄三氏指揮の下に熱演しました。

5名のソリスト(内田聆子・奥村智美・斉藤言子・菊本恭子・別所ユウキ)は関西楽壇におけるベテランから新人まで、学年換算にして56年に亘ります。この長さこそが、ファンタジーが先輩から後輩へと受け継いでいく「真摯な学び」を象徴しています。音楽と正面から向き合う演奏者たちの態度に、満場の聴衆から盛大な拍手が湧き起こりました。

2017年秋「ファンタジーの夕べ」は、兵庫県立芸術文化センター小ホールを会場としました。「神戸女学院ホール」と母校の名を冠したこのホールは母校から距離が近く、学校帰りの在校生も足を運べます。当日は多くの同窓生たちでにぎわい、ロビーのあちこちで再会を楽しむ姿が見られました。

このように、「クラブファンタジーの夕べ」は研鑽の場として、また親睦の場として、今後もクラブファンタジーの中心的行事であり続けます。共に学んだ同輩の活躍を積極的に発信しながら、私たちは2021年に誇るべき「創設70年」を迎え、同年10月には、「70周年記念コンサート」を兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホールにて開催致しました。

これまで想像もしなかったコロナ禍に見舞われ、感染対策を慎重に行いました。久しぶりに生の音楽に触れた方も多く、会場は大きな温かい拍手に包まれました。大変困難な状況下、無事終了出来ましたこと、皆様に心から感謝申し上げます。

今回は三部の盛大なプログラムを、企画いたしました。コーラス、声楽ソロ、器楽アンサンブル、二台のピアノ演奏、そしてダンスと音楽のコラボレーションも加わりました。またクラブファンタジーのホームページにこの度の夕べのコンサートの動画を載せております。

今後とも会員皆様の活躍の場として、「クラブファンタジーの夕べ」を期待を込めて応援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。